なみなみ通信Vol.20

海況情報
各海区とも、水温はほぼ平年並みで推移しています。

豊前海南部沿岸域のゴミ調査を実施しました
豊前海区漁業協同組合長会より「近年、豊前海沿岸域はゴミ等の堆積により底質環境が悪化し稚魚育成場を減少させているのではないか。その実態を調査してほしい」との要望を受け、豊前海研究所では、平成16年3月25日に小型底びき網によるゴミ調査を実施しました。
今回の調査では、豊前海南部沿岸域のゴミの推定量は51.5トンでした。ゴミの種類をみると木クズ(61%)、ビニール(16%)が多く、空缶(金属類)、ペットボトル(プラスチック類)、ビンの入網もみられました。
今後は、関係漁業者とともに、ゴミ対策について検討していきます。
(豊前海研究所漁業資源課)
タイラギ潜水器漁業が5年ぶりに本格操業しました
有明海におけるタイラギ潜水器漁業は、夏場の大量斃死等により平成11年度以降ほとんど操業されていませんでした。今年度も夏場にへい死が発生しましたが、一部の漁場で生残が見られ、5年ぶりの操業となりました。福岡県の許可隻数は41隻で、平成15年12月10日から休漁日の設定や操業時間の短縮などの自主規制を行いながら、平成16年3月31日まで行われました。1歳貝主体の漁獲のため単価は安かったのですが、推定漁獲量は殻付重量約300トン(貝柱重量約20トン)となりました。 (有明海研究所資源増殖課) |

今年度の主な操業区域
(斜線部分)
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潜水器による操業風景 |
漁獲されたタイラギ |
平成15年度有明海のり養殖経過と生産結果
1 養殖経過
(1)秋芽生産期:採苗は10月5日から開始され、中旬までは生育は順調に推移していましたが、
下旬以降、あかぐされ病の蔓延によって秋芽生産は不作となりました。
あかぐされ病は10月29日に初認され、@ノリが摘採サイズに達していた、A小潮であった、
B水温が高かった、C11月1〜6日にかけて約100mmの降雨があった等の要因が重なり、
漁場全域に蔓延、重症化しました。その後も高水温と断続的な降雨のため11月28日の
一斉撤去まで病勢は収まりませんでした。
(2)冷凍生産期:冷凍網は12月3日から出庫され、海況・ノリの生長ともに順調で8日から摘採が
始まり、昨年度大被害となった細菌性のスミノリ症も発生せず、1月上旬まで順調な生産が
行われました。しかし、プランクトンの増殖はなかったものの少雨の影響により栄養塩の
供給が少なかったため、1月から大和高田・大牟田沖を中心に色落ちが発生し、2月以降は
筑後川を中心とした河口域のみの生産となりました。2月末に大量の降雨があったため、
栄養塩は幾分回復し、3期作として3月初旬に網の張り込みが行われ、4月初旬まで生産が
行われました。
2 生産結果
秋芽生産は、ここ20年間で最低の生産量(0.8億枚)となりました。
冷凍生産は1月上旬から発生した色落ちが長期化し、生産可能域が限られましたが、
3期作で持ち直し、枚数・金額ともに平年並となりました。
平成15年度漁期総生産は、枚数・金額ともに過去10年の中では平成12年度、14年度に次ぐ
低調な結果となりました。
(有明海研究所のり養殖課)

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