なみなみ通信Vol.48 |
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1〜3月の表層水温は、筑前海の沿岸・沖合域では期間を通じて平年並みで推移しました。 有明海の表層水温は調査期間を通じてやや低めで推移しました。 豊前海は1 月がやや低め、2 月はかなり低めで推移しましたが、3月は平年並みに戻りました。 |
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平成22年度 有明海ノリ養殖経過と生産結果 |
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採苗は過去2番目に遅い平成22 年10 月23 日から開始されました。採苗直後に台風14 号の影響で風が強い日が2、3日ありましたが、ノリ芽への影響はなく、順調な育苗が行われました。11 月中〜下旬頃にノリの病気が確認されましたが、特に大きな被害にはならず、秋芽生産は順調に推移し4〜6回の摘採が行われました。また、単価も上昇したため、14 年度以来8年ぶりに生産金額が50 億円を上回りました。 冷凍網の張り込みは12 月28 日から開始されました。年末から年始にかけて時化の日が多く、例年より張り込み完了までに日数を要しました。 22 年度の総生産は表のとおりです。平均単価は9.81 円/枚と昨年度よりやや低下しましたが、生産枚数は15.4 億枚、生産金額は150.8 億円と、前年度および過去5年平均を上回りました。 |
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(有明海研究所) |
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豊前海におけるカキの身入り向上対策 |
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カキは冬に旬を迎えます。これは海水温の低下に伴って食用となる身(軟体部)の部分に、グリコーゲンが蓄積されるからです。このことを現場では、カキの「身入り」が良くなるといいますが、豊前海では通常10月頃から「身入り」が良くなり始め、11 月中旬頃に出荷が開始されます。しかしながら、近年は秋季の海水温が高めに推移する傾向がみられるため、年によってはカキの「身入り」に影響が生じて出荷の開始が遅れています。 カキの「身入り」は餌料量にも影響を受け、「身入り」を良くするには、十分な餌料を摂取させることが重要となります。当海区では、繁忙期の収穫作業を効率的に行うため、カキを出荷前に一旦収穫して直径40cm,高さ20cm ほどの荒目のカゴ(通称:丸カゴ)のなかに収容した後に、養殖筏へ再垂下する作業が広く行われています。そこで、カキの丸カゴへの適切な収容量を検証するため, 通常の垂下養殖したカキを対照区として試験を実施しました。 試験は人工島周辺漁場にて10 月より開始し、異なった数量(1kg、5kg 及び10kg 区)のカキを丸カゴへ収容した後に漁場へ再垂下し、2ヶ月後のカキの成育状況(殻高、むき身重量)を比較しました。その結果、カキの成長は殻高が5kg>対照区>10kg>1kg 区、むき身重量が5kg>対照区>1kg>10kg 区の順に優れていることが分かりました。また、1kg 区では空間的な余裕が生じてカキが転がったために特に殻の成長が阻害されたこと、10kg 区では収容するカキが多すぎ、内部の餌料効率が低下したことが推察されました。 これらの結果から、1カゴあたりのカキ収容量を5kg 程度とすることで、通常と比較してカキの殻の成長や「身入り」の促進が期待されることが分かりました。注意点としては、漁場によって波浪や海水中の餌料量が異なるため、実際にカキを収容する際には、5kg を基準としつつ、各漁場の特性に応じて、適宜調整を行って頂きたいと思います。 |
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(豊前海研究所) |
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